古代中国のとある場所に、三國駅という駅がありました。
そこは、自分の人生の行き先を求める者がここへ来て、駅長・陸遜に道標を教えてもらうのです。
今日も迷える狼が一人。
三國駅〜勇敢な猛将編〜
「こんにちは」
「こんにちは、どうなされました?」
本日は晴れ。太陽が丁度真上の位置にある。
駅長・陸遜(といっても駅員も一人しかいない)は竹箒で掃除をしていた。
「実は…私、とても重大な悩みを抱えておりまして。」
訪ねてきた人は背の高くて、黒髪で、とても誠実そうな眼差し。
こんな美青年が道を迷うなんてめずらしいなぁ、と陸遜は思っていた。
「ところで、貴方のお名前は?」
「あ、ハイ。趙雲と申します。」
「そうですか、では趙雲殿。どうなさったんですか?」
「自分は、ある国に仕えている武将で、
自分でいうのもなんですが、容姿も完璧、性格も女性好み、
実際なら女性には大モテモテのはずなのですが…。」
「…の、はずが実際は?」
「はい…実際私のところに寄ってくる人というのが…
全部、男性なんです…。」
オ ト コ。
「そ、そうですか…」
趙雲は一人涙を流した。
「毎日毎日本っっ当に辛いんですよォ!!体を流しているときも誰かの視線を感じるし、
日々誰かから送られてくる文には『趙雲殿…私は貴方をこの腕で抱きたい』とか、
『私は君を思いながら一人で夜を過ごしている』とかめちゃくちゃなんです!!!毎日!!!!」
つまり、こういう事である。
趙雲に対して向けられているラブコール。
それは全て『受け』に来いというお願いであるわけで。
美しすぎる容姿のせいで同じ境遇にあってきた陸遜は、
趙雲の気持ちが痛いくらいに分かった。
「毎日こんなものやセクハラばかりで…何度も呉か魏に亡命しようかと思いました。」
その言葉を聞いた陸遜は壁をドンッ!と叩き、叫んだ。
「呉だけは絶対にお止めなさい!!!!」
「は?」
趙雲はきょとんとしていた。当然であるが。
「呉はですね…
ロリコンとか不良とかナルシー軍師とかファザコン(凌○)とか甲高い声出すヤツがいるんです!!
みんっなホモなんですよ!!そんな所にいさせる事などできません!!」
「は、はぁ…それで、続けていいですか?」
あぁ、すみません、と陸遜は咳払いをした。ちょっと喉が痛くなったからである。
「昨日…初めて女性から告白されたんです。同時に男性からもまた告白されて…」
「そんなの男性をフって女性とお付き合いすればいいじゃないですか?」
趙雲は首をフルフルと振った。そういうわけにもいかないんです、と話を続けた。
「その告白をしてきた男性というのが、私の相棒ともいえる人で、すごく複雑なんです。
女性はまだ名前しか知らないし、そんな人好きになれるはずもないのに…。
どうしたら良いのですか!?駅長殿。教えてください。」
ふむ…と陸遜は考えこんだ。
「たまに、その相棒が見せる仕草に胸が苦しくなったり…
触れたりすると…体の中が熱くなるんです。」
陸遜は趙雲の顔を覗き込んだ。その表情はいかにも”恋しちゃっている人”である。
「趙雲殿…それは貴方はその相棒とやらに恋をしていますよ。
自分でも気づかない頃からね。
趙雲はまさか自分が、といったかんじで驚いていた。
「えっ…私が…!?」
はい、といい私はニコリと笑顔を向けた。
「多分…そうですね。合わない日はいつも辛かったです。」
「ならばもう迷うことはありませんね?」
陸遜はポケットの中からゴソゴソと探したあと、ある紙を趙雲に渡した。
「この切符は貴方を『幸せ』へと連れて行ってくれます。
もう迷わずに自分の気持ちを伝えてくださいね
『受け』はとても大変ですが、頑張ってください!!」
「(…?)はい。ありがとうございます!!」
丁度カタンカタン…と電車が駅に到着した。
ドアが開いて趙雲は一度ペコリと陸遜に頭を下げ、そして電車に乗り込んだ。
その後ろ姿はもう迷う事などない、勇敢な将を感じさせた。
窓越しに見えるのは、趙雲とその相棒――…馬超。
『馬超…私は貴方を愛しています。』
『ち…趙雲…!!本当に…か?』
『はい、私は貴方と永遠に共に生きてゆきたい』
『趙雲…俺も愛しているよ…』
ここは三國駅。
自分の人生の行き先がわからなくなったらここへ来ましょう。
きっと駅長・陸遜が貴方に『幸せ』への切符を渡してくれる。
幸せという名の電車は、今日も線路の上を走っている。
END
あとがき
なんだコレ!?いきなり意味不明なもの書いてしまってすみません。
これを書き出すきっかけとなったのは○ikoさんの新曲『三国駅』から…です。
でもいざ書いてみるとアイタタターな結果になってしまいました。
でもまだまだ続編ありますよ…(ぇ)
近日アップ予定。
2005/2/20 山本ハルカ。
ブラウザバックでお戻りください。