今日って、何かあったような気がする。何だっけ?思い出せない。
誰かが、今日を覚えてろよって言ってた。そして勝手にアラーム設定しやがった。
ピピピピッピピピピッ・・・
ほら、鳴った。誰かが勝手に決めた俺の起床時間
残念だが、俺はもっと早く起きていた。
ケータイのディスプレイを見ると、今日は7月25日。
スケジュールには『天国様の誕生日!!』などと表示されている。
…そうか。今日はあのバカ猿の誕生日だった。
ケータイを見ながらベッドで寝転がっていると、
メールが1通届いた。送信者は、猿野だった。
『よォ!そろそろあのアラームが鳴っただろ??今からお前んち行くわ!!!』
「…は?」
予想できない猿野の行動に、俺は驚くことしかできなかった。
まぁ猿野が俺の家に来ることには全く問題ない。むしろ喜ばしい。
ここのところ部活が忙しくて全然猿に構ってやれなかったし。
久しぶりに猿と過ごせるから、今とっても嬉しいのだが。
でも、俺今日が猿野の誕生日って忘れてたから、まだプレゼント買ってない。
忘れてた俺も悪いが、どちらにせよ午後に買いに行くつもりだった。
今は朝の8時半。店なんてまだ開いてないからどうしようもない。
「とりあえず、謝ればいいか…」
10分後、猿野は俺の家に来るなり、右の手のひらを俺の前に差し出した。
「…オッス」
「オッス!で、プレゼントはねぇの??」
いきなりそれかよ、と突っ込むと奴は満面の笑みでおう、と答えた。
とりあえず、可愛いから許してやるけど。
「最初にプレゼント貰うなら、やっぱ犬からがいいな〜って思って」
「そんなもんなのか?」
「そんなもんなの!で、プレゼントは??」
とびっきりの笑顔のところ申し訳ないが、まだないから。
「まだ買ってない。今から買うつもりだった。」
ふーんと猿野が言うと、俺が今寝転がっていたベッドに座った。
「じゃ、いっか。プレゼントはまた今度にしてさ、今日はずっとお前んちにいる」
「…は?ずっと?」
「ったりめぇじゃねぇか。今日は俺の誕生日なんだから好きにさせてくれよ」
別にいいけど、と言い、俺は猿野の隣に寝転がった。
「で、とりあえずお前は何が欲しいんだ?」
「50型液晶テレビ!!っていうのは嘘で、そんぐらい自分で考えろ!!」
「ノーヒントかよ」
「あ…んー別に金物じゃないから」
「わっけわかんねぇ。何なんだよ、欲しいのって」
「…」
すると、猿野は黙り込んでしまった。
何を考えても答えは見つからなかった。
一つの予想は立つのだが、猿がこんな望みを持つとは思えないから。
愛?なんて、少し自惚れてみたりして。
金物じゃないプレゼントなんて、俺にはそういうロマンチックな事しか想像できなかった。
「…別に、お前が嫌なら、この頼みはきかなくていいよ」
「俺が嫌がるような望みなのか?」
「わかんねぇ」
何でそう躊躇うのかが分からない。
猿は、ちゃんとお前の事が大好きだって知ってるだろ。
俺はお前の望むことなら全て叶えてやりたいのに。
お前が望むのなら、俺はこの世界を敵にまわしても構わないぞ。
だって俺は、猿野天国のことを愛しているんだから。
「犬飼は、俺のこと、好きだよな?」
「当たり前だろ」
「じゃあ約束してくれ」
「…何を?」
「ったく…」
すると猿野は俺の背中に手をまわしてきた。
今の俺と猿野は、今にもキスしそうな距離だった。
そして、口付けを一つ。
「お前、鈍感だもんな」
「…バカ猿には負けるよ」
俺の頬にまた一つ。
「俺達、男同士だから、普通はいけねぇじゃん?」
「ああ」
「いつかは離れちゃうかもしれないじゃん?」
「…ああ」
今度は猿野の頬に一つ。
「だから…俺に保障をくれ。」
「何の保障だよ…?」
「ずっと、犬飼の隣にいれるっていう保障」
「そんなの…俺と出逢ったときからお前はその保障を持ってたよ」
「ははっ…何だよソレっ」
そして、お互いの唇にもう一度。
「ずっと…一緒だからな?卒業しても、成人しても、おっさんになっても、死ぬまでな?」
「ばーか、訂正しろ。死んでも、だ」
この誓いは、俺は何歳になっても忘れないだろう。
たとえ俺と猿野の歩む道が離れたとしても、だ。
もし、どうにもならなくてお前と死に別れたとしても、
俺はあの世でもお前と一緒にいるから。
そして、生まれ変わっても。
「なぁ…犬飼」
「ん?」
「俺、まだお前に言ってもらってねぇけど」
「あぁ…あれか。ん、猿野、耳貸せ」
「…おう」
今はまだ充分なプレゼントはやれないから、思いっきり囁いてやるよ。
腰砕けになっても、知らねぇぞ?
「天国、誕生日おめでとう。愛してる。」
生まれ変わっても、またお前のことを、愛するから。
《終われ》
とりあえず、出来上がってよかったです・・・!!
正直全然内容考えてなかったんで、この小説は何がいいたいのやら・・・。
猿野の誕生日SSですが、今回は犬飼キュン視点で書きました。
とりあえず、猿野キュンお誕生日おめでとーう!!!
2005/07/25 時雨