ぼんやりと空を見上げ、甘寧が沈んだ表情をしているとその側を孫策が通
りか
かる。
「お?どうした?だいぶ元気がねぇなぁ〜」
「孫策さま。…いえね、伯言が俺のこと避けるんっすよ。何となく何で
すが
…」
「ふぅ〜ん。あいつがねぇ」
「元気がないような顔も時折してやがるんっすけど、声かけようにも逃
げら
れるんじゃな〜と思ってて。
それでどうしようかなと〜」
「食欲とかあんのか?」
「分かんねえんですよ。何かきっかせさえあればな…とか思うんですが
」
「じゃ、これ食わせてみろよ」
甘寧の前にずいと差し出された白い小袋。
「何んっスか、これ?」
「飴」
「…は?確かにあいつはまだガキですけど」
「大丈夫だって。お前が食わせてやれって。
これ、食わせたら…少しは
素直
になるかもな。
大喬のお墨付きだからヨ♪」
「は、はぁ〜。なら遠慮なく」
少し戸惑ってはいたものの、疑うわけにはいかず、孫策から白い小袋を受
け取
ると
その足で陸遜の家に行った。
今日は非番であったらしく、ぼんやりとこちらも外を眺めている陸遜と顔
を合
わせる。
「よっ」
「…あぁ、これは興覇どのでしたか…。今日は、どうされました?」
やはり何時もどおりの相変わらず、視線を一度もあわせようとしない顔。
伏せ目がちとでもいうのだろうか。
甘寧は顔に出さず、それなりに応対を済ませていく。
「お前に、コレ。渡そうと思ってさ」
「はい?何ですか、これ?」
「飴」
「……わたしは子供ではありませんよ」
「元気がなかったんでさ、食欲もなかったらと思ってよ」
「そうですか、それはありがとうございます…そこに置いていてくださ
い。
あとで…」
「今食えよ」
「え、でも…」
何時もより強気の甘寧に少し戸惑いの色を見せる陸遜。
「客から貰ったものは客の前で食べるもんだぜ。ほれ、口あけな」
甘寧の右手にはあの孫策からもらった飴がある。
自分の意識で一歩足を後退させるも、逆に無意識のうちに体の方は反応し
ていた。
甘寧のことばに、僅かながら口を小さくひらいていたのだ。
それを逃す事無く、無理矢理口の中にほりこむ。
「……なんだか、さっぱりした味…ですね。どうしたんですか、これ?
」
「お前の為に持ってきた」
何とも曖昧な返事をされて、陸遜の顔は少し不満そうな顔をしていた。
食べ終わって暫く何も起きないばかりか、素直になっていない陸遜に、
孫策のことばを信じていた甘寧はがっかりしてしまう。
「興覇どのも如何ですか?」
「い、いやいい。そうだ、お前にもう一つ渡すものがあったんだ」
「え?何ですか??」
はっと陸遜が見上げた瞬間、甘寧の顔がすぐ間近にあって、そのまま口を
塞がれる。
「んっ…」
仄かに甘く少し口当たりのいい液が流れ込んできたと思うと、喉の奥深く
に染み渡るように流し込まれた。
陸遜の苦手な後味、そう御酒だった。
全身に行き渡るのが手に取るように分かる...
その直後、体がぐらりと傾き、甘寧の胸の中に倒れこんだ。
「興……覇…どの……少し、具合が……」
「俺が傍についてるから」
と言うものの甘寧の顔は何処となく、嬉しそうな顔をしている。
その顔がぼんやりとぼやけて陸遜には見れた。
そのうちに、だんだんと陸遜の様子がおかしくなってきてしまう。
顔を見上げるように、ちらりと何かをおねだりするみたいに上目遣いの視
線をし始めた。
「…介抱…して、くだ…さるんですか…?」
「お前が嫌がらなければ、最後まで付き合ってやるぜ?」
と、陸遜の顔を覗き込むように目を合わせてやると、
少し驚き、気恥ずかしそうに再び胸に顔を埋めた。
うわっ やべっ!! 鼻血が出そうだぜ!
甘寧は日頃の事を思い出し、少しドキドキしながらいつもより従順になりすぎ
た陸遜の耳元で
吐息をかけるように優しく囁いた。
「最近、お前がつれねえから…どうしたのかと思ってよ。心配だったん
だぜ?」
「…ごめんなさい…。余り、お傍にいるのは…ご迷惑かと思って…」
「気にすることなんかねえよ。…お前が傍にいないとき、どんなに寂し
かったか…。分かってるのか?」
「ごめんなさ…い…。ごめんなさい…。そんなに興覇どのが…想ってい
てくれているなんて、
考えてもいなかったので…」
今にも泣きそうな顔をしていた。
その顔を見て甘寧は、
「許してやんね〜」
と言って、ちらりと得意げに頬を赤らめた陸遜をじっと見つめる。
「どうすれば…許して、くれるんですか…?」
陸遜が声を出した少しの動作で、小さな瞳から透明なしずくが頬からすー
と一筋、下に流れ落ちていく。
「普通に許したんじゃ…なぁ?」
「えっ…?」
陸遜の細腰から奥へ左手を滑らせ、触り誘い耳元で小さく言った。
「それは、お前次第点なんだぜ?」
「…っ」
甘寧の言葉に少し戸惑い、顔を真っ赤に染める陸遜。
誘われた左手に反応してか体が熱く火照り、深い吐息を繰り返した。
そして、再度確認するかのように迫る。
「いいんだな?」
言う甘寧の言葉に、陸遜は恥ずかしげにしながら小さく答えた。
「……はい」
と。
風流師様より頂きました、「于吉の落としもの2」です。
スイマセン、この話頂いたの夏頃です…;;
編集していたのに、アップし忘れてました(汗)
いやぁ〜最後は少しえっちぃですね!!!!
私もあーいうのが書きたいんですが、どうも苦手です。
うーん…尊敬したいですね!!いや、尊敬してますvvvv
こんな素敵な小説ありがとうございましたー!!